2025年は、クリスティアン・ホイヘンスによる「ひげゼンマイ」発明350周年の記念すべき年です。この節目に、彼の系譜を継ぐ「独立時計師とスモールメゾン」の皆様に、作品への哲学や想いを綴った「直筆レター」を添えていただきました。こちらでは、各ブランドの手紙の詳細をご紹介させていただきます。

直筆レター 日本語訳 ▶
親愛なる時計愛好家の皆さまへ
今年は、クリスティアン・ホイヘンスが「テンプ用ヒゲゼンマイ」を発明してから350周年にあたります。この瞬間は、時計史を永遠に変えた出来事でした。ホイヘンスはその発見によって、時間の計測にリズムと精度を与え、人間の感覚に頼っていた時間の概念を、調和という科学へと昇華させたのです。彼の偉業は今もなお、バランスを通じて完璧を追求するすべての時計職人に、尽きることのないインスピレーションを与え続けています。アーミン・シュトロームでは、この「動きの中の秩序」を追い求めたホイヘンスの精神に、深い共鳴を感じています。彼が発見した、2つの振り子がエネルギーを共有することで同期する現象――彼が"シンパシー"と呼んだその現象――こそ、私たちのレゾナンス技術の原理そのものなのです。
レゾナンス・コレクションでは、2つの独立した振動体が別々に動き始め、やがて互いに共鳴し、完全なリズムへと調和していきます。この自然な共振現象が歩度の誤差を抑え、安定性を高め、目に見えない物理法則を"生きた鼓動"として腕元に宿します。
同様の革新精神は「グラヴィティ・イークォル・フォース」にも息づいています。このモデルでは、脱進機に伝わるエネルギーを常に一定に保つ仕組みを備えています。これは、ホイヘンスのヒゲゼンマイに始まった「規則性への探求」を現代に継ぐ表現です。
これら2つの創造は、精度の進化と機械的調和の美しさに捧げる、私たちのオマージュなのです。
―この時計を手にされる方へ。どうかこの時計が、単なる時の指標ではなく、長い年月にわたる探究心と創造力の結晶であることを思い出させてくれますように。そして人生の中で、時計と同じように、静けさと共鳴の瞬間―完璧なリズムを見いだすひとときに寄り添ってくれますように。
心よりの感謝を込めて。

Gravity Equal Force Indigo(左)
自動巻き(Cal. ASB19)
パワーリザーブ:約72時間
ケース径:41.0mm
ケース:ステンレススティール
防水性: 3気圧防水
限定:8本
5,445,000円税込
Mirrored Force Resonance(右)
手巻き(Cal. ARF21)
パワーリザーブ:約48時間
ケース径:43.0mm
ケース:ステンレススティール
防水性: 3気圧防水
世界限定:50本
価格:12,100,000円税込 ※2025年11月現在
「アーミン・シュトローム」スケルトンの美学と共振する革新
スイスの独立系メゾン、アーミン・シュトローム。創業者が築き上げた卓越した「スケルトン化(オープンワーク)」の遺伝子を継承し、ムーブメントそのものを美の主役へと昇華させています。特筆すべきは、真の「マニュファクチュール」としての圧倒的な技術力です。2008年の自社工房設立以降、地板やブリッジ、歯車に至るまで、コンポーネントの97%を自社内で一貫生産。設計から製造までを垂直統合することで、妥協なき時計作りを実現しています。
物理学の「共振現象」を時計に取り入れた「ミラード・フォース・レゾナンス」は、隣接する二つの振動体が同期することで精度を高める画期的なモデル。一方、「グラヴィティ・イークォル・フォース」は、独自のバレル機構によりゼンマイのトルク変動を解消。最適なトルクのみを使用する作動停止機構と組み合わせることで、極めて安定した精度を叩き出します。
伝説の創業者―Armin Strom: ハンドメイドによるスケルトン化の巨匠。彼がムーブメントに吹き込んだ「見せるための美学」は、ブランドの揺るぎない礎です。
新時代の牽引者たち―Serge Michel & Claude Greisler: 幼馴染であるサージュ・ミシェル(オーナー)とクロード・グライスラー(技術責任者)の二人は、創業者の魂を受け継ぎながら、ブランドを現代的なマニュファクチュールへと進化させました。ミシェルの大胆なビジネス戦略と、グライスラーの天才的な技術開発力が融合し、アーミン・シュトロームは新たな黄金期を迎えています。
