お気に入りの腕時計を身に纏うとき、私たちはその精密な鼓動を肌で感じ、自らのリズムを整えます。しかし、その情熱の視点を「生活空間そのもの」へと広げたとき、住まいというキャンバスに究極の知性と安らぎを描き出す存在が現れます。それが、ドイツ・ミュンヘンの至宝「Erwin Sattler(エルウィン・サトラー)」です。

ただ時を告げる道具ではなく、空間の空気を整え、品格を注ぎ込む「動く彫刻」。数あるクロックの中で、なぜサトラーが「至高の品格」を放つのか。その背景には、一族が100年以上にわたり受け継いできた時計製作への情熱と、一切の妥協を排した不屈のフィロソフィーが息づいています。

 

1903年、永久カレンダー搭載クロックから始まった「精密」への系譜

サトラーの歴史を紐解くと、1958年の創業よりもさらに半世紀以上前、創業者の祖父であるハインリヒ・サトラーが、1903年に携帯型の永久カレンダー搭載クロックで特許を取得。この瞬間にサトラー家の「革新性と精密さ」というDNAが定義されました。その後、1958年に時計師エルウィン・サトラーがミュンヘン郊外のグレーフェルフィングに自身の工房を設立しました。当初は小規模な工房でしたが、その根底には常に、数世代にわたって受け継がれる最高品質へのこだわりが流れていました。

 

なぜ「黒い森」ではなく「ミュンヘン」だったのか

ドイツのクロックの聖地といえば、鳩時計で有名なシュヴァルツヴァルトを思い浮かべる方も多いかと思います。しかし、エルウィン・サトラーはあえてミュンヘンの地に留まり続けました。南ドイツの中心地であるミュンヘンは、豊かなバイエルン文化と高度な精密工学が交差する都市です。サトラーが目指したのは単なる計器ではなく、空間を彩る「動く彫刻」としての時計でした。この芸術的感性の高い土壌こそが、機能美を極めた独自の美意識を育むのに最適な環境だったのです。

 

伝統の継承と「マニュファクチュール」への進化

1989年に娘のステファニー・サトラー・リックが経営に参画したことは、ブランドにとって大きな転換点となりました。彼女の指揮の下、1992年から自社製ムーブメントの製造を強化。2002年にはパーツの9割以上を自社内で完結させる驚異的な内製率を達成し、名実ともに世界最高峰の『マニュファクチュール』へと進化を遂げました。

細部に至るまで自社の目の届く範囲で製作を行う「逃げのない品質管理」によって、圧倒的なクオリティが維持されています。

 

「使い捨て」の時代だからこそ、サトラークロックが持つ永続性は、圧倒的な価値を持ちます。気圧補正振り子や、熱膨張しにくいインバー鋼を用いた機構など、あくなき精度への挑戦は、調整次第で月差わずか数秒という精度を誇ります。すべての軸受にルビーを使用するなど長期的な耐久性が考えられており、定期的なメンテナンスにより数世代先まで家族の歴史を刻み続ける「家宝」として残せる設計がなされています。

 

空間を調律する「動く彫刻」との暮らし

サトラーを室内に迎えることは、機能美を極めた芸術品を手に入れ、その空間の知性と品格を可視化することに他なりません。朝、振り子の音で始まる静謐な時間は、製品スペックを語る以上に、私たちの生活に心の豊かさをもたらしてくれます。1903年の特許から続く伝統と、ミュンヘンの芸術性が同居するこの「動く彫刻」は、目の肥えた時計愛好家の皆様にとって、人生を共にするに値する数少ない選択肢となります。

 

日本橋三越店では、エルウィン・サトラーコーナーがリフレッシュオープン。格調高いフィロソフィーを体現するクロックを数多く取り揃えております。ミュンヘンの工房が貫く「妥協のないモノづくり」の世界観を、ぜひ店頭でご体感ください。

 

お問い合わせ先:日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリー/シェルマン TEL: 03-6225-2134

 

APERIA III

「APERIA III(アぺリアIII)」は、世界限定65台のプレミアムな壁掛け時計です。最大の魅力は、息をのむようなムーブメントの奥行き。5分割されたスケルトン文字盤の奥で、大胆に肉抜きされたプレートや歯車が重なり合い、美しい陰影を生み出します。約30日間のパワーリザーブを備え、日付・曜日、そして職人の手描きによる美しいムーンフェイズを搭載。さらに、底部には巻き上げクランク(鍵)を収納できる秘密のフラップを装備。伝統の職人技と現代美が融合した、まさに「動く彫刻」です。

機械式、時報機構:30分毎ラック式時報(半時:1回、正時:時間数、毎正時の時間を繰り返す)、パワーリザーブ:約30日間(1ヶ月)、ケースサイズ:高さ96 cm × 幅25.5 cm × 奥行き11 cm、重量:約13 kg
限定数量世界限定 65台

価格:6,820,000円税込み ※2026年6月現在

この時計について問い合わせる

 

 

 

日本橋三越店 園田

シェルマンオフィシャルサイト

1971年にアンティークショップとして創業したシェルマンは、パテック・フィリップをはじめとしたアンティークウォッチの名品の数々や美術工芸品ともいえるアンティークジュエリーを中心に展開してまいりました。
そして現在は、大手メゾンに属さず時計づくりに励む独立時計師のユニークな作品、独自の信念やこだわりを持って製作される現行ブランドの時計、複雑機構を搭載したクォーツ式のオリジナルウォッチの開発・製作など、アンティークの枠を越え、時代や流行を越えて受け継がれる名品をコンセプトに、幅広いジャンルの作品を取り扱っています