CHRISTIAAN VAN DER KLAAUW ― Dear Watch Lover, ―

2025年は、クリスティアン・ホイヘンスによる「ひげゼンマイ」発明350周年の記念すべき年です。この節目に、彼の系譜を継ぐ「独立時計師とスモールメゾン」の皆様に、作品への哲学や想いを綴った「直筆レター」を添えていただきました。こちらでは、各ブランドの手紙の詳細をご紹介させていただきます。

直筆レター日本語訳 ▶

親愛なる時計愛好家の皆さまへ

350年前、オランダの科学者であり、時計職人、そして天文学者でもあったクリスティアン・ホイヘンスが、時計史における最も重要な発明の一つ「テンプ」と「ひげゼンマイ」を生み出しました。この発明は、主ゼンマイのほどけ方を一定に保ち、時を正確に刻むために考案されたものです。当時のホイヘンスやオランダの科学者たちが注目していたのは、「①時を正確に測ること（時計の精度）」と「②星の位置を知ること（天文学）」でした。17世紀のオランダ経済は海外貿易に支えられており、特に東南アジア、そして日本との交易には、航海に不可欠な天文観測と精密な時計が欠かせなかったのです。この「天文学」と「時計製造」の融合こそ、私たちクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ アストロノミカル・ウォッチが一貫して追求している理念です。私たちは、世界で唯一、天文時計のみを専門とするブランドです。

ホイヘンスの発明350周年を記念した限定6本の特別モデルは、6つの惑星が描かれたプラネタリウム・ウォッチです。エナメルダイヤルには、ホイヘンスの肖像をハンドペイントで描き、秒針にはオランダのナショナルカラーであるオレンジをあしらいました。

もう一つの代表作「グランド・プラネタリウム・エキセントリック・マニュファクチュール」は、8つの惑星の軌道と正確な公転速度を再現した、史上最も複雑なプラネタリウム・ウォッチです。

また、1774年にオランダのアインゼ・アイジンガが自宅の天井に作ったプラネタリウム―これは現在も稼働する世界最古のプラネタリウムであり、2年前にはユネスコ世界遺産にも登録されました。その天井画をインスピレーションにした限定6本の「CVDK プラネタリウム・アインゼ・アイジンガー」は、ジュネーブ時計グランプリ（GPHG）にて受賞し、“時計界のアカデミー賞”と称される栄誉を手にしています。

この手紙を通じて、いつかあなたも、こうした天文学的傑作のひとつを手にし、その美しさと知の結晶を日々の中で感じていただけることを願っています。

敬具
ピム・コースラグ

手首の上に広がる小宇宙。「クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ」の世界

天文時計の製作に特化した、世界で唯一のオランダの独立系時計ブランドです。ブランド名は、創業者であるオランダ人独立時計師の名前に由来。創業者のクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ氏は、天文学への深い愛情を持ち、1974年に自身の事業をスタートさせます。1989年にはスイス独立時計師アカデミー（AHCI）の名誉会員となり、1999年にはブランドの礎となる「世界最小の機械式プラネタリウム時計」を開発しました。

2009年、ブランドはデザイナーのダニエル＆マリア・レインテス夫妻に引き継がれます。夫妻は「天文時計専門」という現在の独自の地位を確立し、CVDKを世界的に高い評価を受けるブランドへと飛躍させました。

そして2022年、フレデリック・コンスタントなどで技術ディレクターを務めたマスターウォッチメーカーのピム・コースラグ氏を後継者として迎え入れ、2025年1月、夫妻は経営から退き、マスターウォッチメーカーのピム・コースラグ氏（元フレデリック・コンスタント等）にブランドの未来を完全に託しました。

ブランドの核心技術「世界最小のプラネタリウム」

CVDKの核心技術は、もちろん「プラネタリウム」機能です。 これは主に文字盤の6時位置に搭載される複雑機構モジュールで、太陽を中心に、水星、金星、地球、火星、木星、土星の6つの惑星の公転をリアルタイムで表示します。この「世界最小のプラネタリウム」を搭載したモデルは、ブランドの代表作として高く評価されており、いくつかの重要なラインナップや限定モデルが存在します。また、2024年には、彼らは50周年を迎え、クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ氏、ダニエル＆マリア・レインテス夫妻、ピム・コースラグ氏の3世代で開発に挑んだ、8惑星の公転周期を表示させる複雑機構が搭載されたマニュファクチュールモデル「グランド・プラネタリウム・エキセントリック・マニュファクチュール」を発表し、注目を集めました。