オランダ/ナールデンに本社兼工房をかまえる、独立時計師の名を冠した〈クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ〉ですが、彼らの手掛けるすべてのモデルが惑星や天体の動きを司る天文時計としての機能を備えています。
今回は、オランダに現存する世界最古の機械式プラネタリウム、プラネタリウム・アイゼ・アイジンガーにちなんだモデルを現地の写真を交えてご紹介します。

現存する世界最古のプラネタリウム

 

オランダ北部のフリースラント州、フラネケルに存在する、1781年に完成した現存する世界最古のプラネタリウムとなります。現在は博物館として、アイジンガーが生活をした当時の時代背景や、天文学や天体観測にまつわる物品が展示されています。なお、私たちが一般的にイメージする投影式のプラネタリウムは1923年にドイツで生まれたものであり、18世紀当時は惑星の運行を表示する機構を表していました。

この設備の凄みは、専門的な教育を受けていないアマチュアの天文学者が、自宅の居間の天井に大規模な設備として、ほぼ全ての車輪・歯車、1万本に及ぶ歯車用の鉄釘に至るまで一人の手で作り上げたという点が挙げられます。また天体の動きをつかさどる動力は鉄製の錘で、機械式の時計同様に振り子での調速を行っている点も興味が尽きません。その価値は当時のオランダ王国に認められ、アイジンガー本人の生存中に国の管理下となり、2023年には正式にユネスコの世界遺産に認定されました。

世界最小の機械式プラネタリウム

一方、独立時計師であるクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ氏も、オランダ北部のフリースラント州、ヤウレに工房を構えていました。学生時代に機械工学を学ぶ際、アイゼ・アイジンガープラネタリウムにも影響を受けたと言われています。

このモデルは世界最小の機械式プラネタリウムを搭載した時計であり、12位置に配された太陽のモチーフの下に日付と月が表示されます。文字盤はアイジンガー・プラネタリウムの天井をモチーフに、油彩で描かれている為、筆の揺らぎなど手作業ならではの味を感じ取ることも出来ます。

アイジンガー・プラネタリウムと同様に、太陽を中心に、水星・金星・地球・火星・木製・土星までの6惑星の運行を表示するプラネタリウムを6時に配しています。18世紀当時に部屋の天井でつくられた大掛かりな機構を、腕時計のきわめて小さな世界にまとめ上げた芸術作品と言えます。

この独自の機構により、2021年には、ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPHG)で「カレンダーと天文時計部門賞」を獲得する栄光に輝きました。

なお、世界限定6本であるモデルの為、時計の裏蓋には限定のシリアルと、6惑星にちなんだ惑星の名称が刻まれている点も興味深いポイントではないでしょうか。世界最古と世界最小をつなぎ合わせる希少なタイムピース、ぜひ腕に乗せておたのしみください。

 

CVDK PLANETARIUM EISE EISINGA

ケース径: 40mm
防水性能: 5気圧
ムーブメント: 自動巻き
パワーリザーブ: 約96時間
価格: 13,200,000円(税込) ※2025年6月現在
世界限定: 6本

【お問い合わせ先】
日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリー/シェルマン TEL: 03-6225-2134
伊勢丹新宿店 本館5階 ウォッチ / クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ  TEL: 03-3352-1111 大代表

 

シェルマンオフィシャルサイト

1971年にアンティークショップとして創業したシェルマンは、パテック・フィリップをはじめとしたアンティークウォッチの名品の数々や美術工芸品ともいえるアンティークジュエリーを中心に展開してまいりました。
そして現在は、大手メゾンに属さず時計づくりに励む独立時計師のユニークな作品、独自の信念やこだわりを持って製作される現行ブランドの時計、複雑機構を搭載したクォーツ式のオリジナルウォッチの開発・製作など、アンティークの枠を越え、時代や流行を越えて受け継がれる名品をコンセプトに、幅広いジャンルの作品を取り扱っています