スイスの独立系時計メーカーである〈チャペック〉は、19世紀半ばに活躍したフランソワ・チャペックの時計製造の遺産を受け継ぎ、2015年に現代に蘇りました。その時計は、伝統的な職人技と革新的なデザインが融合した、まさに芸術品と呼ぶにふさわしいものばかり。今回は、年間限定生産100本のスケルトンモデル「アンタークティック・レヴェラシオン」をご紹介致します。

「アンタークティック」コレクションの真髄

発表されて以来、独立系時計メーカー〈チャペック〉の名を一躍有名にした「アンタークティック」コレクション。その魅力は、スポーティーでありながらエレガントなデザイン、そして自社製ムーブメントにあります。このコレクションから生まれたスケルトンモデル「アンタークティック・レヴェラシオン」は、「啓示」を意味し、巧みにスケルトン化されたデザインが特徴です。新しいビスポーク・ムーブメントが文字盤側からその心臓部を躍動させ、時計愛好家を魅了してやみません。

3年の歳月をかけた新型ムーブメント「キャリバーSXH7」

3年の歳月をかけて美学とエンジニアリングを追求した新型ムーブメント「キャリバーSXH7」を搭載。これは、既存の自社キャリバーSXH5をベースに、ムーブメントの反転と地板のスケルトン化という複雑なアイデアを実現したものです。主な変更点として、エスケープメントの完全な逆転化、ローターの両面へのエングレービング、リューズ周辺機構の再加工が挙げられます。また、独自のブリッジ形状によりセンター秒針の配置が困難となったため、430分位置にスモールセコンドを配置し、サファイアクリスタル製のリングで秒目盛を表現。これにより、高い透明性とメカニズムの深い鑑賞性を実現しています。

細部に宿るデザインの美学

「アンタークティック・レヴェラシオン」の魅力は、ムーブメントだけにとどまりません。シャープでありながらもどこか柔らかさを感じるケースデザインは、どのようなシーンにもしっくりと馴染みます。特に、ブレスレットとケースの一体感は秀逸で、腕に吸い付くような装着感は、チャペックの細部へのこだわりを感じさせます。また、ブレスレットはプッシュボタンで簡単に長さを微調整可能です。

チャペックの「黄金のミツバチ」:歴史と永遠を刻むシンボル

文字盤をよく見ると小さな虫のレリーフが彫られています。これは、チャペック社のホールマーク「黄金のミツバチ」です。フランス国王のエンブレムの中でも最も古いものと言われており、「死と復活」、そして「永遠」の象徴とされてきました。特に、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトは、1804年の即位時にこの「黄金のミツバチ」に感銘を受け、自身の紋章や戴冠式のローブに積極的に採用しました。これは、自身の統治がフランスの歴史的連続性の中に位置づけられ、正当性が示されるという意図に加え、「復活と永遠」の象徴として帝国の永続性を願う意味が込められていました。チャペックがこのエンブレムを採用しているのは、その豊かな歴史的背景と、「復活と永遠」という力強い象徴性への深い敬意を表しているからです。

独立系ブランドの真髄が息づく一本

チャペックのような独立系メーカーの時計は、大量生産されるブランドとは一線を画します。それは、一つ一つの時計に職人の魂と情熱が込められているからです。「アンタークティック・レヴェラシオン」は、単なる時間を知るための道具ではありません。身に着ける人の個性を際立たせ、語りかけるような存在です。その美しい輝きは、日常に新たな「啓示」をもたらしてくれることでしょう。

 

 

ANTARCTIQUE RÉVÉLATION

ケース : ステンレススティール
キャリバー : SXH7(自動巻)
ケース径 : 40.5mm
厚さ : 10.6mm
防水性能 : 12気圧
パワーリザーブ : 約60時間
年間限定生産:100本
価格:8,470,000円(税込) ※2025年8月現在

 

 

シェルマンオフィシャルサイト

1971年にアンティークショップとして創業したシェルマンは、パテック・フィリップをはじめとしたアンティークウォッチの名品の数々や美術工芸品ともいえるアンティークジュエリーを中心に展開してまいりました。
そして現在は、大手メゾンに属さず時計づくりに励む独立時計師のユニークな作品、独自の信念やこだわりを持って製作される現行ブランドの時計、複雑機構を搭載したクォーツ式のオリジナルウォッチの開発・製作など、アンティークの枠を越え、時代や流行を越えて受け継がれる名品をコンセプトに、幅広いジャンルの作品を取り扱っています