Benzinger × Habring² ― 技術が重なり合うとき―

“Jorge”は、スペイン語やポルトガル語圏の男性名で、ドイツ語圏ではゲオルク(Georgと発音されることが多く、地方によっては親しみを込めてショルシュ(Schorschと呼ばれることもあります。そんな名前を冠した新作「Jorge」の背後には、ドイツ=オーストリアの時計業界を代表するふたつの名が存在します。ひとりはドイツ・プフォルツハイムの職人時計師 Jochen Benzinger(ヨッヘン・ベンツィンガー)、そしてもうひとりは、2025年半ばから工房を移転し、オーストリアのシュタイアーマルク州ライプニッツを拠点とする独立系ブランド Habring²(ハブリング²)です。

つまり「Jorge」は、両者の卓越した技と感性が結びついて誕生した共同制作モデル。両者による初の独立した共同プロジェクトであり、オーストリアの高精度な設計とドイツの伝統的職人技が融合した、まさに時計芸術の結晶です。

 

実を結ぶパートナーシップ

「リチャードと私は、長年にわたりベンツィンガー氏とさまざまな顧客プロジェクトを通じて交流を深めてきました」と語るのは、Habring²のマリア・ハブリング。「彼のGAP1およびGAP2モデルのベースムーブメントは、当社から供給しています。これらのムーブメントは、私たちの“Oskar(オスカー)をベースにしたバリエーションなんです。」

“GAP”とは “German-Austria Partnership” の略であり、すでに長きにわたり実りある協働関係を築いてきたことを示しています。しかし「Jorge」は、単なる “GAP3” ではありません。明確な個性と新しい方向性を持ったモデルなのです。

本作は、ベンツィンガーとハブリング、両者の経験と美意識が見事に融合。ベンツィンガーが手掛けたのは、この時計のともいえるダイヤルです。ベンジンガーはもはや説明不要の名職人。世界中の愛好家から支持を集め、ギヨシェ彫りや手彫り・スケルトン加工を得意とする彼は、100年以上前の機械を駆使しながら、多くのパーツや装飾を自らの手で仕上げます。この40年以上にわたり、数多くのブランドのためにギヨシェを手掛けてきたベンツィンガーの名を、〈ハブリング²〉は対等なパートナーとして文字盤上に掲げています。

 

オスカー”が“Jorge(ショルシュ)”に命を吹き込む

ハブリング²もまた、情熱的な時計愛好家には説明の要らない存在です。リチャードとマリア・ハブリングが率いる小さな工房は、自社製ムーブメントの開発によって業界に新風を吹き込みました。今回、「Jorge」に搭載されるのも、その自社製ムーブメントをベースとした手巻きキャリバーです。

「基本構造は“Oskar”とほぼ同じですが、いくつかの仕様変更を行いました」とリチャード・ハブリングは語ります。「“Jorge”のムーンフェイズは“Oskar”よりもやや大きく、修正用プッシャーを9時位置に追加しています。日付修正は3時位置に配置しました。ベンツィンガーのGAP1GAP2は比較的重厚なケース構造を採用していますが、今回はよりエレガントな印象を目指しました。そのため、“Oskar”に使われているやや繊細なケースと、ボックス型サファイアガラスを用いています。」

さらにリチャードはこう続けます。「ベンツィンガーの文字盤は比類なき美しさを持っています。そこで、手作業によるスチール製針を少量製作し、オープンフレームの炎で酸化処理して赤銅色に仕上げました。その上で、ひとつひとつ手でチューブを取り付けています。」

 

ムーブメント構造にも工夫があります。GAP1やGAP2ではハブリング²独自のブリッジ構造を採用していますが、「Jorge」ではよりピュアな印象を求め、古いアングロサクソン様式のブリッジ構造を取り入れました。控えめながらも、眺めるたびに発見のある美しい仕上がりです。

 

2つの特別な意匠が、このムーブメントを特徴づけています。ひとつは、香箱と輪列ブリッジに刻まれた “Benzinger × Habring²” の共同ブランディングロゴ。もうひとつは、英国の“犬好き文化”へのオマージュとして加えられた小さな遊び心。それが、約48時間のパワーリザーブを見守る“ダックスフント”のモチーフです。 “Wiener Gesperr”と呼ばれるこの仕掛けが、巻き上げのたびに静かに見守ります。

 

英国の伝説的時計師ジョージ・ダニエルズへのオマージュ

ベンツィンガーが選んだ装飾は、クラシックなグレイン(穀粒)またはバーリー(大麦)パターンのギヨシェ。小さなダイヤ形や楕円形が規則的に連なり、光の反射によって生き生きとした表情を見せます。2つのインダイヤルには、放射状のレイパターンが施されています。

デザインの随所には、ベンツィンガーが深く敬愛する英国の伝説的時計師ジョージ・ダニエルズ(1926–2011)の影響が感じられます。ダニエルズは20世紀を代表する独立時計師であり、ギヨシェ装飾を施したムーブメントやダイヤルの美しさで知られています。彼はコーアクシャル脱進機の発明など技術革新と、古典的な手仕事を融合させた巨匠でした。

Jorge」は、ベンツィンガーとハブリング夫妻による共作であると同時に、ダニエルズという“時間芸術の巨人”への静かなオマージュでもあります。この時計を手にすることは、ヨッヘン・ベンツィンガー、リチャードとマリア・ハブリング、そして英国の偉大なるマスター、ジョージ・ダニエルズへの敬意を手首に宿すことでもあるのです。

 

Benzinger × Habring²

― Jorge ―

ムーブメント: Calibre A11JBM(自社製手巻き)
表示機能:時・分表示、スモールセコンド & ムーンフェイズ、ポインターデイト
振動数: 28,800振動/時(4Hz)
パワーリザーブ: 約48時間
素材: ステンレススチール
サイズ: 直径:38.5mm
厚さ:9mm(風防含まず)/ 総厚 10.75mm
風防: ボックス型サファイアクリスタル(高度なドーム形状)
裏蓋: サファイアクリスタル・ケースバック
防水性: 3気圧

価格:2,970,000円税込 ※2026年1月現在

 

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1971年にアンティークショップとして創業したシェルマンは、パテック・フィリップをはじめとしたアンティークウォッチの名品の数々や美術工芸品ともいえるアンティークジュエリーを中心に展開してまいりました。
そして現在は、大手メゾンに属さず時計づくりに励む独立時計師のユニークな作品、独自の信念やこだわりを持って製作される現行ブランドの時計、複雑機構を搭載したクォーツ式のオリジナルウォッチの開発・製作など、アンティークの枠を越え、時代や流行を越えて受け継がれる名品をコンセプトに、幅広いジャンルの作品を取り扱っています