LANG&HEYNE
FRIEDRICH AUGUST I
ドイツ/ドレスデンにて、こだわりのモノづくりで細部まで妥協なく仕上げを行うことから、年間の生産数がわずか数十本である<ラング&ハイネ>。今回は彼らのファーストモデルの一つである、フリードリヒ・アウグスト1世をご紹介します。
17世紀末から18世紀にかけてザクセン選帝侯であったフリードリヒ・アウグスト1世から名をとったこのモデル。ラング&ハイネも本拠地を構えるドレスデンを芸術と建築の中心地として文化的に発展させたと言われています。高度な専門職である時計師もこの時代からドレスデンに集められました。余談ながら彼の治世において、磁器で著名なマイセンもアウグスト1世が作らせたものが始まりと言われています。
このモデルで目を惹くのは美しく白いエナメル文字盤と、その上で繊細に輝き放つルイ15世針です。かつての宮廷時計などを思わせる、懐中時計を基にした作りであり、エナメル文字盤は作成に非常に手間のかかる3層構造のグラン・フー・エナメルを使用し、繊細な装飾のルイ針は自社で職人が1つずつ手彫りで作成しています。古典的かつ美しい針の造形で、腕時計ではここまでこだわった作りのモノはなかなかないのではないのでしょうか。
ムーブメントの仕上げも古典的なドイツ時計の仕上げを現代で再現しています。梨地の金メッキを施したムーブメントは、一般的なサンドブラストを用いた仕上げとは異なり、銀のしごきと呼ばれる手作業で仕上げられています。一括りに梨地と言っても、同じくドレスデンで時計作りを行うクドケの時計など、仕上げ方法の違いにより、それぞれ仕上がりや見え方が全く異なります。見比べてみるのも一興かもしれません。
テンプ受けには繊細な彫金が施され、受け石のキャップにはカットされたダイヤモンドが用いられています。磨き上げられたスワンネック緩急針、テンプもチラネジ付き、細かな所ではガンギ車の受けを金属の別パーツで覆うなど、かつて作られたハイグレードな懐中時計の仕様が随所に用いられています。外から見られる文字盤側とは違い、ムーブメントの美しさは所有者のみ許された愉しみと言えます。
職人が精魂を込めて手作業で製作する最高の作品、ぜひ手に取ってお楽しみください。
LANG&HEYNE
FRIEDRICH AUGUST I
手巻き、18KRG、ケース径:43.5mm、3気圧防水
価格税込:5,632,000円 ※2022年10月現在
日本橋三越店 小林 睦