秋の夜空を見上げると、ひときわ眩しく輝く「宵の明星」金星。 この秋、天文学と時計愛好家にとって極めて特別な瞬間が訪れます。 来る10月24日、地球と金星は太陽を挟んで一直線上に並び、584日に一度しか訪れない「最接近(内合:ないごう)」の瞬間を迎えます。
地球と金星がもっとも互いの距離を縮め、静かに寄り添うこの特別な日に合わせて、独立時計師メーカー〈クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ(CVDK)〉が誇る最新の傑作『Venus』コレクションの物語をお届けします。
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■ ニュートン力学とスコットランドの天文学者が描き出した「金星の五芒星」
「ローズ・オブ・ヴィーナス(Rose of Venus)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
地球から見た金星の動きを、夜空のキャンバスに一本の線としてプロットしていくと、約8年間の月日をかけて、まるで大輪のバラ、あるいは完璧な「五芒星(ペンタグラム/★)」のような美しい幾何学模様が描き出されます。
古くから人々はこの美しい周期性に気づいていましたが、この「地球から見た金星のダンス」を、世界で初めて正確な幾何学図面として可視化したのは18世紀末のことでした。
1799年、スコットランドの天文学者であり数学者のジェームズ・ファーガソン(James Ferguson)は、著書『アイザック・ニュートンの原理に基づく天文学の解説』の中で、地心的な金星の軌道図を出版しました。 かつてアイザック・ニュートンが『プリンシピア』で解き明かした万有引力の法則と運動方程式を基に、「もし地球を基準として金星の軌跡を何年も点と線で結んだらどうなるか」を正確に計算し、図面として立ち上げたのです。
地球が太陽の周りを8周する間に、金星は太陽の周りを約13周します。 この「8」と「13」という数字は、数学において自然界の造形美を司る「フィボナッチ数列」の隣り合う数字であり、その比率は人間が本能的に美しいと感じる「黄金比(約1 : 1.618)」に収束していきます。
ひまわりの種の並びや松ぼっくりの螺旋、そして大宇宙で金星と地球が織りなす五芒星 ──。 自然界と宇宙のスケールを超えて流れる同じ調和のリズムを、私たちはニュートン力学と天文学の知恵によって知ることとなったのです。
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■ ピム・コースラグ氏が語る「天文学こそ、最も純粋な時間」
「10.10 WORLD WATCH DAY」に合わせて来日したCVDKのCEO兼マスターウォッチメーカー、ピム・コースラグ氏は、集まった愛好家たちを前にこう語りかけました。
「1974年の創業以来、私たちには大切にしてきた哲学があります。『天文学こそ、最も純粋な形での時間である』と。一日とは地球が一回転すること。一年とは地球が太陽を一周すること。私たちが日常で目にするカレンダーの起点には、すべて宇宙の運動があります」
CVDKの最新作『Venus』は、その太陽・金星・地球・月という太陽系のドラマティックな配置を、わずか38mmのケースの中に再現したアストロノミカル・ウォッチです。
10月24日に迎える584日に一度の最接近に向かって、文字盤の上の小さな金星と地球もまた、リアルタイムで静かに歩みを進めています。
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■ 詩情と技術が交差するふたつの『Venus』
この最高峰のメカニズムは、趣の異なるふたつの表情(シリーズ)で表現されています。

1. 詩的なロマンを纏う『Venus Zodiac(ゾディアック)』
満天の星空を想起させる美しいブルーアヴェンチュリン(砂金石)の文字盤を採用したモデルです。 文字盤外周には黄道十二宮(ゾディアック)が刻まれ、中央の太陽を中心に、手描きで仕上げられた金星、地球、そして地球を周回する月が静かに巡ります。 月が太陽と地球の間に位置するときは「新月」、地球を挟んで反対側に位置するときは「満月」を示すという、上空から宇宙を俯瞰する革新的な3Dムーンフェイズを備えた、極めてポエティックな逸品です。

2. 知的な精密美を追及した『Venus Annual Calendar(アニュアルカレンダー)』
サンレイ仕上げの美しいシルバー文字盤に、極上のメカニズムを凝縮したテクニカルなアプローチのモデルです。 外周には年間カレンダー(年暦)が刻まれ、1年に一度だけリューズで調整するだけで正確な日付を示し続けます。 さらに文字盤上の各ディスクには、地球の公転速度(時速107,206km)や金星の公転速度(時速126,071km)といった天文データが緻密に刻印されており、知的好奇心を刺激する仕上がりとなっています。
どちらのモデルも、2024年に登場した自社製自動巻きムーブメント「CKM-01」を搭載。 裏蓋のサファイアガラスからは、ハンドメイドで面取りされた星型のブリッジや、メゾンの象徴である太陽型ローターの美しさを堪能することができます。

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■ 二度と戻らない「一度きりの時間」を腕元に
ピム・コースラグ氏は、スピーチの最後にこのような言葉を残しました。
「カレンダーの上では、来年も10年後も、同じ『10月24日』という日付がやってきます。しかし、今日この瞬間、太陽と金星と地球と月がつくる宇宙の配置は、宇宙の歴史の中で二度と戻ってくることはありません。時間とは、繰り返される数字ではなく、二度と戻らない出来事の連続なのです…。時計とは、自分がいま、この一度きりの時間を生きていることに気づくための装置なのです」

10月24日、金星と地球が最接近を果たす神秘的な夜。 ただ数字として時を追うのではなく、ルーペを手に取って腕元の『Venus』を覗き込んでみてください。
静かに刻まれる幾何学の軌跡に、あなた自身の尊い人生の時間を重ね合わせるとき、機械式時計を所有する本当の喜びがそこに広がっています。

シェルマンオフィシャルサイト

1971年にアンティークショップとして創業したシェルマンは、パテック・フィリップをはじめとしたアンティークウォッチの名品の数々や美術工芸品ともいえるアンティークジュエリーを中心に展開してまいりました。
そして現在は、大手メゾンに属さず時計づくりに励む独立時計師のユニークな作品、独自の信念やこだわりを持って製作される現行ブランドの時計、複雑機構を搭載したクォーツ式のオリジナルウォッチの開発・製作など、アンティークの枠を越え、時代や流行を越えて受け継がれる名品をコンセプトに、幅広いジャンルの作品を取り扱っています